新生銀行は11日、「レイク」の名前で日本で消費者金融事業を展開する米ゼネラル・エレクトリック(GE)の
子会社を、総額5800億円で買収することで合意したと発表した。個人向け事業の強化を狙うが、
新生銀の財務悪化の可能性を指摘する声も市場にはある。
新生銀が買収するのはGE傘下のGEコンシューマー・ファイナンス(GECF)。消費者金融中堅シンキを抱える
新生銀の貸付金残高の合計は、買収によってプロミスやアコムなど業界大手4社にほぼ並ぶ。
新生銀は当初、消費者金融事業だけを買収する計画だったが、GEとの交渉の過程で、
住宅ローンやクレジットカードなど個人事業を丸ごと引き継ぐことになり、買収金額がふくらんだ。
買収資金は預金などを充てる予定。
利息制限法を超える灰色金利に対して将来発生する可能性がある利息返還請求額については、
最大2060億円までを新生銀が負担し、それ以上はGEが負うことにした。
GEは昨年夏にレイク売却の方針を固め、新生銀のほか、消費者金融大手のアコムやプロミスも買収に
名乗りを上げていた。GEの日本での金融事業は、90年代に入って本格化し、98年にレイクの営業譲渡を
受けるなどして拡大してきたが、今回の合意で個人向け事業は大きく縮小する。法人向け事業は続ける。
買収合戦を金額面などで制した新生銀のティエリー・ポルテ社長は本店で記者会見し「ビジネスの質が高く、
経営能力があるGE子会社の買収は、収益拡大に向けた素晴らしい機会になる」と語った。
しかし市場の反応は冷たい。11日の新生銀の株価の終値は358円と前日比2.98%下落。
格付け会社からは「格下げ方向で検討」とされた。
背景には厳しい消費者金融業界の実情がある。大手各社は改正貸金業法による規制強化に前倒しで対応して
金利を引き下げているが、新たな上限金利に見合ったリスクで貸し出せる顧客は限られる。
貸出総額を年収の3分の1以下に抑える「総量規制」が導入されれば、借り入れが多い顧客が返済に困り、
貸し倒れ損失が増える可能性も指摘されている。
11日、同業の武富士、アイフル、プロミスの大手3社の株価はそろって年初来安値を更新した。
資金調達にも逆風は吹く。金融機関が融資に慎重な姿勢に転じ、転換社債(CB)の発行が頼みの綱だ。
三井住友銀行グループの最大手プロミスは8日、新株予約権付き転換社債を海外市場で発行して最大600億円を
調達すると発表したが、翌日には420億円への減額修正を迫られた。
「メガバンク傘下にない独立系への市場の見方はさらに厳しい」(証券系アナリスト)との声もある。
新生銀が買収で使う資金は中核自己資本の約80%に相当する見通しで、「これまでで最大の買収案件」
(ポルテ社長)だ。レイク買収を目指したものの価格で負けたアコムの幹部が「新生銀の提示額はとても無理」と
話すほどの巨額の買い物だ。
新生銀の決断の背景には、他行に比べて強い分野をなかなか見いだせない現状がある。
08年3月期では個人向け(リテール)部門の赤字が続いているうえ、投資銀行の分野でもサブプライム関連損失を
計上するなど経営を取り巻く環境は厳しい。
業績を上げて利益をためこまない限り、公的資金の返済の道筋も見えてこない。
今回の合意で、レイクのブランド力や店舗網などを活用し、リテール事業を立て直したい考えだ。
中小の撤退が相次ぐ消費者金融業界だが、「競争相手が減って、事業を拡大するチャンス」(新生銀)とする。
米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズの根本直子マネジング・ディレクターは「サブプライムで傷つき、
リテール部門も振るわない中、一発逆転を狙っているのかもしれない。
しかし、消費者金融業界の厳しい環境を考えると、収益が圧迫される懸念がある」と話す。